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すると荷物整理の手伝いに来ていた部屋主である姉の真紀と親友の菜穂が勢いよく身を乗り出した。
「ちょっと、可愛!
うんざりしている場合じゃないわよ、やることは山程あるんだから」
「そうそう、悠長に構えてられる場合じゃないんでしょう?」
そう捲くし立てる真紀と菜穂に、可愛は弱ったように荷物を見回した。
「そうなんだけど、何を持って行って、何を残したらいいのか分からなくて」
「荷物に関して樹利さんはなんて言っているの?」
そう尋ねた菜穂に、可愛は頬を赤らめた。
「……着のみ着のままでいいからって。持って来たい物があるなら、なんでも持ってくるといいけど、基本的に荷物は何もいらないからって。
……私が来てくれたらそれでいいって」
モジモジと照れ臭そうにそう告げた可愛に、菜穂と真紀は顔を見合わせ『ゴチソウサマ』と肩をすくめた。
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