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本当に良かった。
リンさん、どうかこれから幸せになってくださいね。
目頭が熱くなることを感じ、慌てて空を仰いだ。
ネオンの先に美しい月が、その姿を現していた。
さて、帰ろうと一歩足を踏み出したとき、街頭から聴き慣れた歌声が耳に届き、
あ、カズさんの歌だ。
と可愛は思わず脚を止めた。
元akカンパニーの社員で、良き先輩だったカズさんは趣味で活動していたバンドが大手レコード会社の目に留まりデビューを果たし、見事に大ブレイクした。
今や出すCDは必ずランキング入りするほどの人気バンドだ。
みんな、自分の道を見つけて未来へと歩き出している。
私も……踏み出すんだ。
NYへ。
樹利の元へ!
可愛は顔を上げ、しっかりとした足取りで家路へと急いだ。
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