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「ごめんね。私は君とは付き合えない」
雨が容赦なく降り続ける。
赤い傘をくるくると回す彼女は……僕が2年間片思いした彼女は言った。
その表情は無理をしたかのように明るく、それが苦しかった。
「私、彼氏いるもんで」
知ってたけど告白したって言っても聞き入れられたりはしないのだろう。
勇気を出して、関係を断ち切るかもしれない。
そんな恐怖を押しこめて僕は貴女に告白したんだ。
彼氏がいるならもっと堂々と振ってほしい。
そんな辛そうな顔してるから心配になる。
「君のことは友達として、後輩として好きだったよ。これからもそうだと思う」
……だから、そんな期待させることを言わないで。
貴女がもっと欲しくなる。
赤い花のように美しい貴女が僕の傍に咲いてほしい。
「じゃあ、また明日ね」
赤い傘がくるくる回る。
雨は僕の心を代弁するかのように、涙のように尽きることがなく降り注ぐ。
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