死界の扉を開けるお祈り

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「・・・いや・・・終電前にお開きにしたんで12時前くらいかと・・・」 「まぁいい。今から△△社(Aさんの会社)におまえは呼び出されている。俺も付いて行く。警察が来ておまえに金曜の夜の状況について聞くらしいわ・・・いや、心配するな、状況からして警察も自殺と断定しているらしい。その原因が何かわかればということじゃないのか?」 俺は呆然とする中、タクシーで上司と赤坂にあるAさんの会社に向かった。 待ち受けていたAさんの上司に俺たちは迎えられ応接室に通された。 そこには私服の刑事(?)2人と制服姿の警察が2人。 丁寧な口調でAさんの金曜の様子や、仕事でつきあってきたこれまでのAさんの言動についていろいろ聞かれた。 俺はありのまま答えた。大好きだった彼女が自殺したことも話しをした。でも俺には言えないことがあった。その彼女に会う方法をAさんに教えたことは。 例のお祈りが何らかしらAさんの自殺に影響したことは間違いない。俺はそう悟った。 1時間くらいの聞き取りが終わり 「わかりました。ご協力ありがとうございました。今日はこれで結構です」 刑事の1人がそう俺たちに言った。警察の4人が部屋を出ようとしたとき1人の刑事が振り返り俺に聞いてきた。 「Aさんて何か宗教やってるって話しをしてましたか?」 「いえ聞いていませんが、どうしてですか?」 「・・・聞いていなければ結構です。失礼しました、それでは」 警察が帰った後、Aさんの上司は俺たちに向かって「どうもご迷惑をお掛けしました」と平身低頭で謝ってきた。 警察もいなくなり緊張感もとけ俺たちはざっくばらんな話をし始めた。 「ところでさっき警察の人が言ってた宗教てなんですかね?」 俺はAさんの上司に聞いた。Aさんの上司は鼻で笑うように 「あぁ何でも彼の部屋のこたつの上にろうそくやら盃やら鏡とか置いてあったらしいんですよ、何やってんだか」
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