出発

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 俺も窓の外を見てみると想像を絶する光景がそこにはあった。  まずは辺りが暗い、しかしこれは飛躍的マシだと思う。  問題は次からだ。一番、最初に目が入ったのは辺り一面に敷き詰められた人骨だ。とてもじゃないが足を踏み入れられるスペースがあるとは思えない。  次は前を見てみたが、前が暗く全く見えない。そして何故かは、分からないが走っているのにもかかわらず風が全くない。 「ご理解いただけましたか?」  カミクラの質問に答える者はいない  この風景を見て何を理解しろと!? そう言いそうになったが声が出なかった。 「「「…………」」」  どうやら声が出なかったのは俺だけではなく、他の奴らも一緒のようだ。 「全員シカトとかマジ萎えますわー。まっ、いいや。 ではごゆっくり、〝観光〟をお楽しみください♪」  カミクラさんは軽く頭を下げると消えてしまった。 「「「…………」」」  カミクラが消えた後も沈黙が続く。誰も口を開かない。いや開く事が出来ないのだ。
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