プロローグ~夢~

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ここはどこだろう・・・? 周りを見て分かるのは、ここが廃墟ってことだけだ 崩れた建物 枯れた植物達 暗雲が立ち込める空・・ どれもこの陰欝な世界を構成するのに相応しい 俺は誰なんだ・・・? 身体を触って確かめてみる 背は高く、足は長い 身体中傷だらけだ しっかりと筋肉がついた身体のいたるところに切り傷がついている 一体何があったんだよ・・・? とりあえずその場を動こうと足に力を込める しかし、全くその場から動けない 動こうと悪戦苦闘していると いきなり辺りを光が包んだ あまりの眩しさに思わず目を閉じてしまう しばらく光り輝いていた光が収まってきたので、目を開ける すると、さっきまでいた場所ではなく 大きな川の近くにいた 辺りを見回す どうやら、森のなかのようだ さっきと同じように全くその場から動く事はできないようだ すると、森の奥から人が歩いてくる気配がした ちょうど自分の前から来ているようだ 来たのは女の人だった 髪が長く、青色 顔は綺麗だがやつれているように見える しかし、もっとも目がいくのは その服と抱えている物だ 服はほとんどボロボロの布を巻いているような服 ところどころに穴が空いている そんな女性が抱えているのは 二人の赤ん坊だ 大きさからして、生まれて一年たっていないだろう 「ごめんね・・・二人ともごめんね・・・」 虚ろな瞳でそれを繰り返している 女性は川の淵に座り込むと、そっと赤ん坊を川に流した 何をしてるんだっ!? 止めようとするが動けない それを見た瞬間また、辺りが光に包まれる すっと意識が遠ざかっていく 最後に見たのは 女性の目から溢れる涙だった・・・
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