No.03

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No.03

ポツリと音を立てて天井から私の頬に落ちてきた雨水が私を私であることを気付かせた。 ――落ちて 上がって ―――降って 戻って ――――雨音が 響く 繰り返すたびに汚染物質に侵され、汚され、それは幸せなのか。 軽く呟くだけで何の対処もしないのは、きっとあなたの言葉に少なからず傷付いているから。 ――どろりと粘り気を増した感情が浄化されることに期待なんてしてはいけないというのに。 枕に染みを作る液体はきっと雨水だけではないから…。 削除した11字の数字。 まだ指先が覚えているのです。 「揺らぐんだよ…  もう決めたはずなのに」 そんなに容易く揺らぐなら 約束なんてしなければ良い。  
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