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やっとの思いで私は宿題を進める。 解らない所は飛ばしてぇ…。 「楸、そこ…」 「え?」 突然武瑠くんが声を掛けて来る。膝の上にギンくんを乗せて、私の方を向いて、私が飛ばした問題を指差してる。 「これな……」 「うんうん……」 その問題を教えて貰った後、他の問題も全部武瑠くんに教えて貰いながら解いた…。 駄目じゃない、私…。でも、 「武瑠くん、ありがとう。助かったわ。」 「…ん。」 私がお礼を言うと武瑠くんは顔を真っ赤にして頷く。 「武瑠さま、お顔が真っ赤です!風邪ひいたですか?」 ギンくんが心配そうに武瑠くんの顔を覗き込む。武瑠くんは首を横に振って俯いた。 お礼言われただけで此処まで照れるかな、普通…。 それにしても、武瑠くんは頭が良いから羨ましい。 本人は何も言わないけど、完奈くん情報によると、成績は学年トップ3の常連らしい。 …完奈くん自身はどうなのかは知らないけど。 「やぁやぁ、皆の衆。宿題終わったかな?」 お兄ちゃんが台拭きを持ってキッチンから出て来た。 私のお兄ちゃん、名前は春樹[はるき]。 歳は私と離れてて、今は二十七歳。 私と同じ緑色のセミロングの髪で短いポニーテールにしている。 視力が悪いので眼鏡を掛けてる。 コンタクトは怖いから嫌みたい。 背は高くて180cm以上は有る。 体格はがっちりしてるけど、温厚でのんびり屋さんです。 お兄ちゃんの宿題終わったかと言う呼び掛けに、 「宿題、今終わったところ。」 「…俺は、無い」 「後で。」 私、武瑠くん、完奈くんの順に答えて、完奈くんの返答にお兄ちゃんはまたかと言う様に苦笑いをした。 「完奈~。宿題は先にやりなさいっていつも言ってるだろ? いつも遅くまで掛かって、朝起きないんだから~。」 穏やかな口調で注意をしながら、お兄ちゃんはテーブルを拭きだした。 「だってー…。」 「だってじゃ無いの。 それより三人共、いつまで制服のままで居るつもりだ? 早く着替えておいで。」 「はーい」 私はテーブルに広げていた宿題道具を鞄にしまい、それを持って部屋へ向かった。 階段を上がって、二階に部屋がいくつか有る。その部屋を、一人一部屋ずつ使っている。 私の部屋は、武瑠くんの部屋の右隣。 自分の部屋に入って、私は鞄を置いて、早々と着替えた。
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