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着替えが終わって一階に降りると、ギンくんがせっせとお皿を運んでいた。 私も手伝おうかな…。 そう思ってキッチンへ向かった。 「何か手伝う事ある?」 「あ、ありがとう。でももう済むから座って待ってて。」 返事をしたのは、お兄ちゃんの奥さん、美輝[みき]義姉さん。 完奈くんに似た髪色で、肩胛骨辺りまでの髪を、今日は三つ編みにしている。 お兄ちゃんとは同い年で、小学部からの付き合い。仲もすっごく良いんだけど…。 何で未だに子どもが居ないのか…不思議。 …まぁ、その辺の事は夫婦で勝手に決めてくれたら良いんだけどね。 私が口を挟む様な事じゃ無いし。 椅子に座ってボーッとしていると…。 「隙あり」 「ひゃああぁっ!!!!」 背後から武瑠くんによる不意打ち熱烈ハグ。 私は驚いて震え上がりながら奇声にも似た悲鳴を上げた。 でも、武瑠くんは離れないで、腕の力を緩める気配も無い。 「たた、武瑠くんっ!!」 「楸良ぇ匂いや…」 「………~~っ」 嗅がないでよー! そろそろ離してくれないと、漏れなく冷ややかな視線が…! 「武瑠くん、もうご飯だから…その…、椅子に座ったら?」 「んー…。」 いやいや、何を悩む必要があるの? 立ち食いは下品よ! 「楸、こっち向いて。」 「なぁに?」 武瑠くんが腕の力を弱めたので言われるがままに武瑠くんの方を向いた。 すると…… 「!?」 武瑠くんの顔がドアップで…! …と、次の瞬間、唇に柔らかい感触…。 武瑠くん、タイミング変! どうしてこのタイミングでキスとかして来るの!? 唇が離れると、武瑠くんは満足そうな顔をして私の隣の椅子に座った。 …もう、何がなんだか…。頭がクラクラしてきたよ…。 何かご飯どころじゃ無くなって来た…。 私、お腹いっぱいです。…色んな意味で。 夕飯は天津飯でした。 唇の感触が消えないままだったけど、何とか食べ切りました。 もう、今日は武瑠くんにドキドキさせられっ放しだ…。 お風呂から上がったら、武瑠くんにリベンジしたいと思います。 一泡吹かせますよ。 …本当に吹かれない程度にね…。 お風呂で至福の時を過ごして寝間着に着替えた後、私は武瑠くんと一緒に彼の部屋で毎晩、『カロン』の楽曲鑑賞会をしてから寝る。 武瑠くんへのリベンジは、この時しかない…!
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