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『カロン』の曲は万能。 勉強してる時に聴くと凄く捗るし、眠い時に聴くと子守唄になるし。 だから私達はいつも寝るギリギリまで『カロン』の曲を聴く。 時々口ずさんだりしながら。 …さて、武瑠くんにリベンジするのは良いけど、何をしようかな…。 とにかく、武瑠くんをドキッとさせられたらそれで良い…。 大声で驚かせてみようか。 …いや、ドキッの種類が違うか。ドキッって言うか寧ろビクッってなるよね。 うーん………。 「どないしたん?」 「えっ?」 「…さっきから、チラチラ、こっち見てへん?」 何を仕掛けようかと、武瑠くんをチラ見してたのがバレてしまった…。 「べ、別に何でも…」 そう答えると武瑠くんが大きな溜息を吐いた。 「…楸、今日は『何でも無い』とか『そんな事無い』とかばっかり言うてる。」 「え?…そう?」 「うん。…ホンマは、何か有るんやろ?」 「………。」 うわぁ、バレバレって言うか、見透かされてる…って言うのかな? 私は黙って俯いてしまった。 「言うてみ?俺の悪いトコとか、言うてくれたら、頑張って治すし…。」 「違うの。…武瑠くんが悪いとか、そんなんじゃ無いの…。」 「…じゃあ何?」 何って…。言って良いのかな…? いや、すっごい下らない事だしなぁ…。 言ったら笑われる自信が有る。 「…あ、あのね。…笑わないでくれる?」 「ん?…うん。」 「今日は、武瑠くんにドキドキさせられたり、驚かされてばっかりだから、…何か仕返ししたいなぁ…って、思ってただけ。」 素直に言ってみた。 武瑠くんは大きく瞬きしながらきょとんとしてる。 ごめんなさい。しょーもない理由で。 「…っはははは。」 あーぁ。笑われちゃったよ。笑わないでって言ったのに、笑われちゃった。しょーもな過ぎるもんね。笑いたいだけ笑うが良いよ。 「…そんなん…。…俺も、楸にドキドキさせられっ放しやで。」 「え?」 そうなの?解らないよ。武瑠くん反応薄いもん…。 「今も、…ずっとしてんねんで…。」 言いながら武瑠くんの腕が私を包み込んで来る。 やだ。またドキドキしちゃうじゃない…。 「楸、何も思わんの?…こんな、遅い時間に、男の部屋入って来て…。」 「ふえ?」 何か、急に部屋の空気が一変した…気がする。 武瑠くんが私の頬をそっと撫でて来る。 「…武瑠くん?」
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