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武瑠くんはそのまま顔を近付けて、私にキスをして来た。
本日、二回目…。
しかも、さっきは直ぐに離したのに、今回はなかなか離してくれない…。
ちょっと苦しくなって来た…。
武瑠くんを押し退けようと肩を押すけど、やっぱり全然離れてくれないし…、肩を押してた手を掴まれてしまった。
…これって、ヤバイんじゃない?
漸く唇が離れると私は大きく息を吐いた。はぁ、苦しかった…。
私の手も何とか解放された。
よし、早く武瑠くんから離れないと。
…とか思ってたら、武瑠くんが私の寝間着に手を掛けて脱がそうとして来た。
ちょ…っ、それは流石に……!
「駄目ぇッ!!」
私は怖くなって、武瑠くんを突き飛ばした。
武瑠くんは後ろに倒れこんだ。
まさか、武瑠くんがこんな事するなんて思ってもみなかった。
おかしいな…。
武瑠くんの事は大好きなのに…。
どうして駄目なんだろ…。
どうして怖かったんだろ…。
どうして…泣いてるんだろ…。
「…楸……?」
体を起こした武瑠くんが、ぎょっとした顔で私の顔を覗き込んで来る。
「ご…ごめ…なさい…。私…。」
涙が止まらなくて、喉が詰まって、声が出にくくて、体が震える。
武瑠くんがまた、私を抱き締めて来る。
嫌…怖いよ……。
「ごめん。…もう何もせぇへんから…。」
謝らなくて良いのに…。
「ごめんな、楸…。」
「…うん。」
「ごめん…。」
謝られる度に胸が締め付ける様な感覚に襲われた。
お願い。もう謝らないで。
「…でもな、楸やから、したくなるんやで…。」
「…どうして?」
「楸が、好きやから。」
あぁ…、その言葉聞けただけで、私は凄く嬉しい。何だか、安心した。
ありがとう、武瑠くん。
私も……
「大好き」
私達は三回目の…少し触れるだけのキスをした。
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