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「楸を気遣ってくれるのは嬉しいし有難いけど、武瑠はもっと自分の体大事にしないと駄目だぞ?」
「…ごめんなさい…。」
こういう怒られ方も有るんか…。何か複雑…。
「…で?何処まで行ったんだ?」
「…!?」
な、何を聞いて来るんやこの人は…!
そんな楽しそうにニヤニヤ笑わんといてくれー!
「な…何も…してへん…。」
ちょっと嘘やけど、春兄が思う様な事はしてへん。…そう言う意味で答えた。
春兄は何でか知らんけど残念そう…何でや……。
「まぁ良いや。さて、体みせて。」
「うん…。」
俺が返事して上の服脱いだら、春兄がすぐに俺の体を大きい手で触る。
毎朝こうやって、春兄が俺の体…体の中を循環するアニマの様子を診て、学校行けるか行かれへんかの判断してくれる。
春兄は医者ちゃうけど、アニマ云々の事は、下手な医者より、春兄のが解ってる。
俺の病気…。
アニマが体外に流出し易く、腐り易い。
アニマが流出してまうだけやったら、対処出来る人居るらしいけど、普通腐るモンちゃうアニマが、腐ってまう原因が解らんから、対処のしようが無いらしい。
その、腐ったアニマの所為で、体に異常来して、違う病気併発したりするって…。
こんな病気掛かったん、俺が初めてで、病名とかはまだ無い。
薬で治せる様なモンでも無い。
でも、感染はせぇへんらしい。
ついでに、アニマは、生物が体内に取り込んだマナの事。
魔導術使うんに必要な…魔力の源みたいなモン。
「うーん。今日は水曜日だから、二限で終わりだったね。」
「…ん。体育と、歴史。」
「そっか。じゃあ大丈夫かな。でも、体育は見学。解った?」
「ん。」
今日も行って大丈夫みたいや。
正直、どういう基準で決めてんのかは解らんけど、春兄の言う事は正しい。
春兄に飯食うて来い言われたから、脱いどった服を着て、部屋出て一階に向かう。
「こら、楸!起きなさい!」
途中で春兄の声が聞こえて来た。
…楸怒られてるんかな…。
俺がよかれと思ってやった事が裏目に出て、楸が怒られる…。
何か切ないサイクルやなぁ…。
後で楸に謝っとかな…。
洗面所で顔洗ってから、邪魔ならん様に髪を適当に束ねて、飯食いに向かった。
「武ちゃんおはよう。」
「おはよう…。」
声掛けてくれたんは美輝姉。
朝飯に目玉焼きとウインナー焼いてくれとった。
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