武瑠

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「はい。しっかり食べてね。」 言いながら美輝姉は焼いたパン二枚、皿に乗せて持って来てくれた。 「ありがとう。…いただきます。」 皿受け取ってまずパンから食べた。 美味いなぁ。 「武瑠く~~ん!」 ドタバタでかい音鳴らして楸が下りて来た。 何を慌てとるんやろ? 「…、おはよ…」 「ごめんね、武瑠くん!私ベッド占領しちゃって。」 「いや…謝らんで良…」 「また勝手に寝ちゃったら蹴落としてくれて良いからね。 武瑠くんはもっと自分の体大事にして。」 「…う…うん……。」 …何か、春兄と同じ様な事言われた…。 思わず「うん」とか言うてもたけど、…蹴落としたりなんか、出来る訳無いやん…。 「楸ちゃん、良いから早く顔洗っておいで。」 「あぁ、そうだった!」 美輝姉に言われて楸はまたドタバタしながら洗面所行った。 …なんか、結局謝られへんかったな…。 逆に謝られたし…。 今日は、アカン日やなぁ…。 「今日も朝からイチャパラか?」 「何やねんそれ。」 いつの間にやら起きて来とった完奈が俺の隣座って声掛けて来た。 「武兄、今日は学校行くの?」 「ん。行く。」 俺の質問は無視か…。まぁ良ぇわ。 「…で、昨日宿題終わったん?」 「んー?終わりましたけど何かぁ?」 何かわざとらし…。 やってへんのんとちゃうんか…。 「言うてくれたら手伝ったるやん…。」 「はっ。何で武兄に手伝ってもらわないといけないんだよ。 余計なお世話ー」 …素直ちゃうなぁ…。 何やっけ?完奈が良ぉ「萌える」とか言うとった…。ツンデレってヤツか。 とりあえず、言い方が腹立ったから、頬っぺたつねっといたろ。 「いててててっ!痛い痛い痛い!」 「朝から兄弟喧嘩とは。元気だなぁ。」 背後から春兄のそんな声が聞こえた。 俺は仕方なく完奈の頬っぺたつねんのやめた。 完奈はつねられとった頬っぺた痛そうに擦ってる。 春兄のちっちゃい溜息が聞こえた。 「そうだ。武瑠。学校終わってから寄り道するのは良いけど、今日はお昼には帰って来るんだよ?」 「解った…。」 「よし。じゃあ、俺は先に行くね。お先にー。」 「行ってらっしゃーい」 「春くん行ってらっしゃぁい」 「行って来るよー。」 春兄は美輝姉と抱き合ってから家出た。 …仲良ぇなぁ…。 鴦[おしどり]夫婦言うんやっけ?
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