武瑠

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春兄は、楸が通ってる学校の小学部の先生。 いっつも自転車で行ってるけど、春兄の自転車こぐスピード、めっちゃ速い。 一緒に病院行く時、自転車の後ろ乗せてもうて行った事有ンねんけど、速過ぎて飛ばされそうやった。 …いや、飛んだけど。…意識が。 それ以来、病院へは歩いて行ってる。 楸が戻って来た時には俺はもう飯食べ終わってもたから、先に着替えに行った。 たった二限の為に…面倒やなぁ…。でも行かなアカンわなぁ…。 行ける時に行って、出席日数稼がな卒業出来へんし…。 そんな事を考えながらだらだら着替え、さっき適当に束ねた髪を束ね直した。 一人でやったら難しいよなぁ。綺麗に束ねんの。 …じゃあ切れって? …うん。それも手やけど…俺は伸ばしたいねん。カロンのメンバーみたく…。それが俺が髪切れへん理由。 何とかちゃんと出来たからこれで良しとしよう…。その直後、部屋の外でドタバタ音がする。 …多分、楸やな。 めっちゃ慌てとる…。転けるで。…って、もう飯食うたんか。 軽く苦笑いして、鞄に必要な物と念の為に携帯入れて、それを肩に掛けて部屋出た。 階段向かう途中に楸の部屋が有る。ドア開いてたから横目で見てみた。 あ…。楸、着替えてる…。 ……って…!!!? 「…楸、ドアちゃんと閉めてから着替えや!」 「えっ?わあぁ!ごめんなさいっ!」 一旦自分の部屋の前に戻ってからちょっと張った声で言うたら、楸がドア閉めた。 安心と一緒に何か残念に思った。もう俺、変態で良ぇわ。 一瞬やったけど…。楸も、ちゃんと成長しとんなぁ……。 …ちゃうって。 俺、一階行こうとしてたんやって。 また楸の部屋の前通って、階段降りた。 「…はぁ。」 「溜息なんて吐いてどうしたのー?」 「え?…いや…別に……。」 美輝姉が何かニヤニヤしながら聞いて来た。…怖いんやけど…。 「楸ちゃん、ちゃんと女の子の体になってるでしょー?きっともっと大きくなるわよ。」 「……。」 …何で知ってんねん……。 怖いわこの人…。 …つーか、そんな事言わんといて欲しいわ…。変に意識してまうやん…。 追い打ちみたいにさっきの光景が脳裏に蘇って、体温めっちゃ上がってるのが解った。…顔真っ赤やろな、今…。 「武兄、どうした?顔真っ赤だぞ?」 完奈がいきなり顔覗き込んで来た。 びっくりしてちょっと跳ね上がった。
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