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私がちょっと吹き出しながら言うと、武瑠くんはショックを受けたのか、赤面して折角健康的になった顔色がまた不健康な青白い色になる。
「ご、ごめんなさい。」
私が焦って謝ると武瑠くんは凄く小さい溜息を吐いた。
何か…、気不味い空気になっちゃったなぁ…。
どうしてあんな事言っちゃったかな、私…。
「……楸。」
「は、はいっ!?」
突然声を掛けられて私はびっくりして改まった返事をしてしまう。
私のその反応に武瑠くんがクスリと笑った。
あぁ、笑った!やっと笑った!
良い笑顔よ、武瑠くん!
「…ちょっと、寄り道して帰らん?」
寄り道かぁ。
武瑠くんはゲームとか好きだし、音楽も好きで、部屋はCDでいっぱい。だから…何か欲しいゲームかCDでも有るのかな?
武瑠くんの買い物に付き合うのは嫌いじゃないし。
「うん、行こう。」
私の返事を聞くと武瑠くんは嬉しそうに笑って、私の腕を掴んでいた手を滑らせて手を握って…来た…!
(わあぁー!)
私、この一瞬で手汗すっごい掻いてる!
また顔熱くなってるし…。さっきの武瑠くんよりも、赤くなってると思うよ…。
私があたふたしてる間に、武瑠くんが歩き出したから、私も歩き出す。
あ、足が震えて何だか歩き辛いよ…。
…あ。それと、薄々気付いてると思いますけど、武瑠くんは西旺[さいおう]弁(関西弁)で話します。
武瑠くんのご両親や兄弟は違うんだけど…。
武瑠くんはお祖父ちゃん子で、小さい頃はいつもお祖父さんと一緒にいて…。
そのお祖父さんが西旺弁を話す人だったから、それがうつっちゃって…。
お祖父さんが亡くなってしまって五年程経った今でも、抜けてないみたい。
さてさて。目的地に着きました。私の予想は大外れ。喫茶店に来ました。
時間も時間だし、小腹が空いたのね。
私達は店に入ってみた。人は…多いけど、席は空いてるみたい。
此処は武瑠くんのお気に入りの喫茶店。注文はセルフ式。
「武瑠くん、何にする?」
「…いつもの……。」
「いつものね。解った。」
この会話、私達がする様な会話じゃ無いよね…普通…。
でも、これが私達の普通。
あ。順番回ってきた。
店員さんに笑顔で迎えられ、さっきの「いつもの」を注文する。
まずは武瑠くん。
「…アイスコーヒー…」
店員さんがメニューを繰り返し、そして私。
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