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「チョコレートパフェと、クリームソーダ。 …アイス大盛りでお願いします。」 店員さんは引き続き笑顔…いや、苦笑いで注文を繰り返す。 アイス大盛りで、「あぁ、コイツ等か」みたいな感じになったんだと思う。よく来てるしね。 「以上です」と言ってお会計を…と、思ったら隣から武瑠くんがもう出してるし。 「私の分、自分で出すよ。」 武瑠くんに言うと、何故か寂しそうな顔をしてこっちを見て来た。 どうしたの? あ…。自分で出したくて仕方ないのね…。 そう…。 「誘ったのは俺なんだから!」…みたいな事、前に言われたのを思い出した。 だから私は鞄から出し掛けていた財布を鞄にしまった。 実は、さっきの注文、本当は逆。 アイスコーヒーを飲むのは私。 チョコレートパフェと、クリームソーダ(アイス大盛り)は武瑠くんの。 武瑠くんは大の甘党さん。 でも、恥ずかしがり屋さんなので自分では注文出来ないと言う…。 だからいつも注文品は私と武瑠くんのを入れ替えてるんです。 え?変? …解ってます。 お会計が終わると店員さんがアイスコーヒーとクリームソーダの入ったグラスをおぼんに乗せた。 パフェは少し時間が掛かると言う事で、番号が書かれた小さな旗を渡された。 そのおぼんは、凄く持ちたそうな武瑠くんに渡し、ついでに旗も乗せておいた。 他の人には解らないと思うけど、武瑠くんは凄く嬉しそう。 私は店内をザッと見渡して席を探す。 目についたのは一番奥に有る角の席。 私が歩くと武瑠くんもクリームソーダが零れない様にゆっくりと歩き出す。 通路移動中もやっぱり視線が凄いよ…。 やめて、見ないで。武瑠くんをそんなに見ないであげて。嫌がるし、怖がるから。 目指していた席に着くと、武瑠くんを壁と向き合う方の席に座らせた。 そうすれば、武瑠くんの視界に映る人は私だけになるから。 …いや、私だけを見ていてとか、そう言うのじゃ無くて、武瑠くんの為。 ストレスとかプレッシャーとか、そんな感じのは与えちゃいけないの。 発症しやすくなるみたいだから。 まぁ、武瑠くんの病気の話は置いといて…。 パフェを待ってる間に、私はちょっと武瑠くんに聞きたい事が有るので聞きます。 「武瑠くん。今日、学校で何か良い事有ったの?」 武瑠くんは一瞬キョトンとしたけど、すぐに嬉しそうな顔になってコクコクと深く頷いた。
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