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その表情に、ルシファーは我門が触れた訳を理解したのか、完全に呆れかえったように肩をすくめた。
「……お前あれだな。意外と慎重派なんだな。石橋は叩いて安全を確認した上でも渡らないタイプなんだな」
「僕は生憎、目に見えないもの以外、信じない主義なんでね」
腕を組み、ふっと相手を馬鹿にするように嘲笑する我門。
しかし、
「見えてんじゃん」
「……」
……意外と頭の回る生き物(まだ悪魔とは認めていない)だ。
盲点を突かれましたという顔の我門に、ルシファーはふぅっと息を吐くと、
「これ以上話してても拉致明かねぇな。仕方ねぇから、俺が一発で解決してやるよ」
「……?何だ、悪魔の力でも使うのか?」
さっきの事を根に持っているのか、完璧に皮肉混じり我門の言葉にルシファーは、
「まぁな。目、閉じろ」
にやっと、不敵に微笑んでそう言った。
半信半疑で言われるがままに目を閉じる我門。
「悪魔の言う事は、そう易々と信じちゃいけねぇぜ♪」
何……?と、我門が目を開こうとした瞬間、
ガン!!!
と、鈍くて重い衝撃が、我門の頭に走った。
「!?……い…っ……たッ、、、」
そう言うのが精一杯で、ぐらっと体のバランスが崩れて、殴られたところを抑える。
痛みと驚きが混じって、もう何だか解らなくなりながら、我門は涙目になりながら目を開ける。
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