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我門達は4月から2年生に進級し、1週間が経とうとしている。
今は昼休憩の時間。
我門が席で読書をしていたら、そんな女子達の馬鹿馬鹿しい会話が耳に入ってきたという次第だ。
「下らない」
本を読みながら、聞こえない程度の声で我門は呟いた。
――突然だが、僕は人間が嫌いだ。
弱者ほど他人と群れたがり、集団で居ることによって、強いと見せかけている。
……まるで、動物が自分を大きく見せて威嚇するように。
その割に自分の立場が危ぶまれると、あっさり他人を裏切ることが出来る。
他人に尽くす、思いやりのある人のふりをして、自分の利益しか考えていない。
……正に偽善の塊。
関わることが馬鹿馬鹿しい。
なるべく他人との接触は控えることにしている。
お陰で向こうからも話し掛けてこなくなった。好都合だ。
何処か別の場所に行くか。と我門が本を閉じ席を立とうとした時、1人の女子が近寄ってきた。
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