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『あ…』
『雫…っ』
廊下の向こうから、彰が歩いてくる。
あたしは今、早川君に腕を支えられていて、格好的には腕を組んでいる感じ。
…彰に、こんな姿は見られたくなかった。
早川君には失礼だけど…
『あ…きら…』
『え…?』
あたしが小さく呟いた声に、早川君が反応する。
ぼ~っとしてて、彰に会いたくない気持ちとこんな姿を見られたくない気持ちが混じって、彰を名前で呼んでいることに気づかなかった。
『…早川、なんでお前が…?』
『保健委員なので』
冷静に言う早川君に対して、彰は少し動揺しているように見える。
…あたしが、熱を出したから?
だから、心配してくれてるの?
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