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果たしてこの男に、人の努力を認める心はあるのだろうか…。好未は胸の奥が熱くなってきた。
「先生、彼に謝ってください。彼は他人と比較されるのを嫌がっています。」
必死に訴えかける様に言った。
するとその男、首を右や左に倒している。
「何故謝る?悪いのはあいつだろう。勉強しても伸びない奴は、学校としては要らないんだよ。」
本当にそれが教師の吐く言葉か。
「先生、それは違います。そこを伸ばすのが先生の仕事でしょう。」
「しかしだな、元々、少しばかり問題を起こしてるんだろ?そんな奴が勉強して良くなっても、あまり必要性を感じない。実質なってないしな。」
至って冷静な会話だ。だが、好未はもう怒りが爆発しそうだ。
「先生、その言葉は職業柄、まずいんじゃないですか?これをもし僕が言いつけたら、先生はどうなるんでしょう。」
「ははは。そう来たか。だが無理だ。証拠が無ければ、学校側も動けない。」
歯がゆかった。というか、ここまで来て、何も出来ずに、うつむくことしか出来ないことが、悔しかった。そんな自分に苛立ちすら覚えた。
「その言葉、しかと聞きました。」
「え…?」
好未の声では無い声が、谷垣先生の後ろから聞こえた。
「こ…校長!?」
「あなたがそういうお方だったとは。残念。非常に残念です。あなたにはしかるべき処分を下します。ちょっと来てください。」
好未は、【校長先生に全部聞いてもらう作戦】を、無事成功させた。
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