俺に名前があるように…

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次の日、佐藤鳴海は無事学校に復帰していた。 「佐藤、もう大丈夫なのか?」 「大丈夫。ありがとう。」 鳴海は少し照れてる様だった。 照れたときの顔はこれまた可愛いのが特徴だ。髪は短めで、癖っ毛が強く、髪の先が内側に丸まっている。 いろんな人の話を聞く限りでは、霧島蓮太はモトに戻ったらしい。良かった。完全に一件落着だ。 「なあなあ!カッキー谷垣追い払ったんだろ?すげえ!」 「先生1人追い出すなんて、そうとうすごいよ!これで一組と男バスは安泰だね!」 友達の、見屋月一(みやつき はじめ)と、瀬川美代(せがわ みよ)は、好未を褒めちぎっていた。 「オレはただ、許せなかっただけだよ…そんなに大した理由は無い。」 谷垣聡司が嫌われ者だったことは百も承知だ。だがしかし、それを理由に反抗したわけでは決してない。 「ところでさ、新しい一組の担任知ってるか?」 「さあ…。」 「それがね、花島たくまっていうらしいの。それで、たくまって名前、漢字じゃないんだって。すごく面白いよね。」 名前…。何か仕組まれてるんじゃないか?と疑惑の目で一組の方を見る。 その日の学校は、教育研究会と呼ばれるもののおかげで、早帰りになる。みな、思い思いの午後を過ごそうと速足になってる。 勿論、好未にも、行きたい場所があった。
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