誰もパーフェクトになんかなれない

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「5人!?今年入って何日目だよ!」 「少なくとも、今7月下旬だから、まあ7ヶ月かな。」 まあよくも7ヶ月で5人も落としたもんだわ…。 「みんなふったのかよ」 「そうなるでしょ。でもさぁ、なんであんたを好きになったんだろうね。」 好未がいやそうな顔をすると、そういう意味で言ったんじゃなくて、と訂正される。 「やっぱり…優しいからじゃない?」 白峰と好未が、同時に「えっ?」 と瀬川の方を見る。 「なんかさ、柿崎君て優しいじゃん。この前の体育祭でも、私の足に大玉が当たった時、真っ先に駆けつけて来て『大丈夫か!?』って言ってくれたもんね。」 若葉北高校は、体育祭を6月の下旬に行う。 「めっちゃビックリしたよ…保健室に向かう途中でさあ…『いやあ!!粉砕骨折だぁ!死ぬのやだあ!!』って叫び出したんだよ」 「いや…死なないでしょ…。結果も正常だったんでしょ?」 顔を赤らめて、好未と白峰の顔を交互に見ながら、瀬川が言う。 「ちょ…ちょっと待って!!死ぬなんて言ってない!!盛ってるでしょ!!」 「うん盛った。」 なんだと白峰と瀬川が言う。白峰は面白くなさそうにしているが、瀬川は良かった、と安心しているようだ。
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