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名前がいらない。その言葉は、親としては非常にショックだろう。
れはよぉく分かっていた。
ただとっさにでてしまった。
「好未!ドライブ行かんか?」
一週間口をきかなった父から出た久しぶりの言葉だった。
あの時のことは、すっかり怒りが収まっていたため、簡単にOKを出した。父は小さくガッツポーズをして見せた。
好未は父とたくさん話した。
学校でのこと、友達のこと、その他にも色々。3時間ほどで、2人は家へ戻った。
「今も好きにはなれないなぁ。」
そうつぶやいた。高校ではバカにされることは無くなったのだが。
ドン!ドサッ!
何かとぶつかった。
こちらの体は飛ばされていないし、ももの辺りに何かが当たった感触がしたので、おそらく子どもと衝突したのだろう。
「悪い…大丈夫か?」
案の定だった。
ぶつかった子どもに冷静に謝る好未だった。
「お手手の怪我した。」
こちらもまた、冷静な口ぶりで言い返す。
「ごめんな…一緒に水道まで行こう。」
「うん行く。あそこの公園がいー」
言われるがままに、第三西児童公園へと向かった。ここからなら、徒歩で五分もかからない。
その子は女の子のようだった。
髪が目までかかって、顔がよく見えない。
「こんな時のために、絆創膏を持って来といてよかったぜ。」
安心した表情で、よし!と言い立ち上がる。
「おにーちゃんありがとー」
こっちが勝手にぶつかったというのに…。なんと律義な子だろう。と、ふと思ってしまった。
「おにーちゃん名前なんてーの?」
突然名前を聞かれて戸惑ってしまった。
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