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【時刻 7:02】
さぁて。
便意もそこそこ肛門付近を刺激しはじめてきたな。
俺はこのタイミングを逃すと大体次の波は30分後と相場は決まっている。
今ならまさに絶妙。
お腹の具合が良い事が俺の一つの長所だ。
30分後に送られると歯磨きの時間と重なってしまうのが難点だ。ここは慎重に行かなければ。
俺は右手で布団を剥ぐ。
寝汗で湿っているのが手を通して伝わってくる。
すると、夜中ずっと開けていた窓から生暖かい風がビッショリになっている俺の体に突き刺さる。
濡れている服と、風のハーモニーによってお腹が更に刺激を受ける。
早く僕を出して、と言わんばかりに便意が加速する。
第一の関門である階段は普通に前方降りにしようと密かに決める。
アクロバティックに降りたら間に合わない可能性があるからだ。
額に冷や汗が浮き出てくる。
俺は冷や汗を格好良く上腕で拭う。
やべ…俺って格好いい。
自分に陶酔してしまう。
いや、酔いしれている場合ではない。『僕』を最高にスッキリ出すため、最善のスピードでトイレに向かわなければ。
自分を戒める。
まずは布団から起き上がらなくては。
寝起きで重い体を無理矢理に起こす。
足を大きく上げ、ベッド横に下ろし、その反動で体を起こすって寸法だ。
俺は今までずっとそうやって起きてきたんだ。体調不良の時以外はね。
体調不良にもレベルがある。
レベル1の時は肘を使うんだ。
レベル2は肘と手。
レベル3は頭から降りるのさ。
さぁ、階段へ向かおう。
家の階段は木製。だいぶ築年数が経っているために所々に修理箇所が見てとれる。
そんな風景も見飽きてしまった。
一歩、また一歩と俺は慎重に階段を降りていく。
階段降りる道中、左右の壁には巨乳のグラビアポスターがある。弟の仕業だろう。グラビアアイドルの鼻には鼻毛の落書きが施されている。
途中、見てしまう誘惑に負けそうになるが、必死に自我を保とうと自分のケータイ番号を頭の中で復唱する。
やっとの思いで階段降りきる。
ベストタイミングだ…
今だ、というところでトイレのドアノブに手をかける。
ガチャガチャ!!
ハプニング発生。
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