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【時刻 7:03】
既に先客がいた。
右回りで開閉出来る筈がノブにことごとく拒否されてしまう。
中からは『今入ったところなんだけど。』と、冷酷な声で俺を罵る。声の主は弟だ。
ヤバい…
どっと全身に冷や汗が流れる。
第二関門突破出来ず。
何故だか人間は便意を感じている時、トイレが近くにないときは何とか我慢が出来る。
しかし、便意を感じる時にトイレが近くにあると急速に『僕』は日の光を浴びようとする。
心理戦か…
在るべきもの(トイレ)を無いもの(トイレ)に変換しなければならない。
理論上では出来なくはないはず。
しかし、ここまでの軌跡を辿ればおのずと不可能に近いことだと確信する。
俺はドアの前で立ち尽くす。
何か手はあるはずだ。
少しでも間を持たせるために、お尻を手で塞き止める。
意識すればするほど更に便意がエスカレートしていく。
そこで一つの解決策を思い付く。
圧倒的閃き。
これしかない。
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