銀咬の狼

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劉は築五年とまだ新しいの部類に入る二階建てのアパートで一人暮らしをしている。 それ故に弁当を食べようものなら必然的に自分で作らなければならない。 だが劉は低血圧で朝が大の苦手だ。だから朝、弁当を作る余裕がない。 そうなると購買でパンを買うしか空腹を満たす方法がないのだ。 劉の昼飯はいつもパン。それが当たり前だった。美穂と付き合いだすまでは。 美穂は付き合いだしてすぐ劉の弁当も自分の弁当と一緒に作ると言いだした。 毎日パンの劉を気遣っての行動だろう。「朝二人分の弁当を作るのはたいへんだろう」と遠慮していた劉だったが頑固で勝ち気な美穂に押され、二日に一回でいいという劉なりに妥協した案で落ち着いた。 今日は劉だけがパンで俺らは弁当だ。俺の弁当は肉メインで白米と卵焼きと唯一の野菜であるブロッコリー以外はすべて肉だ。ちなみに今日は豚の生姜焼きに鶏肉の唐揚げだ。 俺は生姜焼きをムシャムシャと咀嚼しながら学年一位、二位の美貌をもつ少女二人の弁当を見る。
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