銀咬の狼

14/19
前へ
/19ページ
次へ
まず美穂の弁当を見てみる。白米と卵焼きにベーコンとミートボール、白身魚のフライに鶏肉をレタスで巻いたのときんぴらごぼうにミニトマト。そりなりにバランスのとれた弁当となっている。 これが全部手作りなのだから恐れ入る。なぜ弁当にそこまで凝れるのか不思議でならない。 次に桜木の弁当を見る。鮭の塩焼きに青菜のおひたし、卵焼きときゅうりの漬け物に炊き込みご飯、と和風なメニューだ。これに味噌汁がついたら完全に日本の朝食だ。 俺は自分の弁当と二人の弁当を見比べる。俺が肉メインで野菜がほぼ皆無なのに対しあちらは肉と野菜の比率が五対五ぐらいのバランスのとれたもの。 劉と同じく一人暮らしの俺は毎日自分で弁当を作っている。だから料理スキルはある程度はあるはずなのだが………。 俺は二人のを一瞥し、思う。なんだこの差は! 俺は今後の弁当事情に不安を抱きながら自分の料理スキルの低さに落胆する。が、すぐに料理なんて食えばみんな一緒だ、と開きなおる。 二秒で切り換えろ、とどっかの漫画であったような台詞を心の中でつぶやいてみる。 幾分か不安が薄れた気がした。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加