銀咬の狼

15/19
前へ
/19ページ
次へ
俺はもくもくと弁当を食し美穂は桜木と楽しく談笑。劉はパンを頬張りながらケイタイをいじり、たまに会話に参加する。これが俺ら四人のいつもの昼食風景。 俺もたまに会話に入るが基本的に飯を食う時は食べることに集中するからどうしても口数が少なくなってしまう。 劉の場合は情報収集に集中してんだろう。PC・ケイタイでの情報収集は趣味みたいなもんだからな。 劉はカツサンドを食べ終え、机の上にあるメロンパンへ手を伸ばそうとする。 その時「あ…………」と間抜けな声を溢す。だがその顔は真剣さを帯びている。 俺は不思議に思って「ん、どうした?」と尋ねる。 劉を目線をケイタイの画面に固定したまま、 「今、自衛隊と魔獣が戦ってる……」 と硬い声でつぶやいた。 俺は勢いよく椅子から立ち上がり劉の背後に回りこむ。椅子が倒れた気がしたが無視する。 俺は劉の背中越しから食い入るようにケイタイの画面を凝視する。 そこにはまるで特撮映画のような光景が広がっていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加