銀咬の狼

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まず目に入ったのはまるで絹のような繊細で流れるようなきれいな黒髪。次は宝石のような輝きを持ちおもわず吸い込まれてしまうんじゃないかと思うほど澄んでいる瞳。長い睫毛、桜色の唇、鼻筋の通った、そんな人。 それは一瞬の出来事であったはずだが、とても長く感じられ顔の特徴をいくつか挙げられるほどの時間があった。まあ、時が止まったわけじゃないからその見蕩れるほどの顔はどんどん近づいてくるわけで。 確実に激突する。避けることは不可能。そう判断した俺は衝撃を抑えるため受け身の体勢をとる。準備万端さあ、来い!という気持ちで待ち構えたのだが。 ここで一つアクシデント発生。扉の溝の部分で躓いたのだ。それだけなら良かった。だが躓いた拍子で右足が上がり膝が俺の股間にジャストミート!!!! 潰れた感じがした。何がとは言わない。 「かっ」 言葉で表現できないほどの激痛が身体中を駆け巡り、声というより音に近い呻き声を出した。俺はそのまま後ろに倒れる。当然受け身などとれるわけもなく後頭部をもろに打ちつけなんなく俺は意識を手放した。
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