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このまま話し合っていても進展しそうに無いな。やはり、さり気なく情報を聞き出していくしかない。
「俺、情報を聞き出してみるよ」
「そうねえ、アタシが行くよりは効果ありそうね」
「そりゃあそうでしょ。あんた、性格変わりすぎだし」
鍋島が笑い混じりにそう言うのに対して、菊池はむくれた顔で返した。
俺はそんな彼らを後に、騒ぐもう一つの座敷側に移動する。酒が余程進んでいるのか、そこには酔っ払いしかいなさそうだ。
座敷の左には、赤井と犬川、長谷川と内田がいて、右側には草野と加賀谷がいる。渡辺はカウンター席の隅へと移動していた。
「あ、おかえり」
「加賀谷君」
どうもここでは彼と、内田しか素面(しらふ)はいないらしい。その内田は余計に暴れまわる長谷川を止めることに必死なようで、赤井達も向かいの席で一緒に騒いでいる。
「盛り上がってるみたいだね」
「うん、僕も耐えかねてこっちに逃げた」
「草野さんは変わってないね。ずっと飲んでない?」
「平気です。これくらいなら」
淡白に返され、会話が止まる。草野とは会話が続けにくいから、先に加賀谷と例のことを話してみよう。
彼は、一体どちらの側なのだろうか。
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