濁った真実

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 侮辱されていることには腹が立つが、彼女達の意見を百歩譲って信じるならば、俺は無自覚で彼女らの言う手紙を受け取っていたらしい。  ありえない事だ。でも、俺ではなく長谷川が受け取っていたってどういうことだろう。俺の代わりに出ていたとか言っていたけど、それじゃあまるで――まるで。  俺の中に長谷川がいるような言い方じゃないか。  待てよ、俺と同名を騙るあの男も、普段俺の代わりに表に出ているとか言っていたぞ。まさか、あいつも俺の中にいるというのか? 「少しは進展したかな」  あの男がそう訊いてきた。俺の心を見透かすように。 「お前は俺なのか?」 「そうだ。いやあ、待てよ。同じではあるけど、違うといえば違うかな。同じ体の、違う心さ」 「他の皆は? 他の皆も俺の中にいる存在だって言うのか」  そこにいる全員が、一様に頷いた。驚愕とはこういう際に使うのだろう。 「おい、でも変じゃないか。なんで心の中にいるはずの君らが、俺と対談できるんだよ。それも居酒屋で!」 「うーん、思った以上に思考能力の低い奴だな。どうする皆」 「ずばっと真相を話しちまった方が早いんじゃ?」 「言ったところで理解できないと思うのさ。だからこんな面倒なやり方にした訳じゃない」 「手紙の効果も薄いみたいだし。というか、見てもいなかったのかなあ」 「うーん、もう答えを言っちゃおうか」
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