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「う……ぐふふふ」
地面に這いつくばりながらも鞍馬は笑っていた。
「強い……強い……だが私はもっと強い!」
鞍馬は立ち上がるとゆっくりと目を閉じた。
「はぁぁ!」
私は悠長に目を閉じたままの鞍馬に横から突っ込み、加速を乗せた正拳をくらわせた。しかし……
「っつ!」
鞍馬の体はまるで鋼鉄のように固くなり、私の渾身の正拳をくらってもびくともしなかった。
「雑魚がいきがるなよ……」
再び開いた鞍馬の瞳には白目が無く、全てを飲み込んでしまいそうな漆黒に染まっていた。
ゆらりと鞍馬の拳がこちらに向けられる。まずい、直感的に両腕で頭を守った私に強烈な一撃が見舞われた。
「姉ちゃん!」
一瞬まさおの声が聞こえたと思った時、既に私は数十メートル後ろのビルの壁にめり込んでいた。
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