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不思議と力が溢れてくる気がした。やられてからようやく強くなるなんて、本当漫画の世界みたい……。いや……漫画の世界と同じなんだ。恥ずかしがっても仕方がない。
「もう負けない」
感覚の無かった背中が少しずつ暖かくなり、やがて二つの大きな翼が生えそろった。
まさおと鞍馬の戦いは熾烈を極め、まさおの鎧はそのほとんどがひび割れていた。
「今……行くよ」
私の意思がわかるかのように二つの翼が風を起こす。翼が無くても空は飛べる? 違う……翼があったらもっと早く飛べるんだ!
今までに無い感覚だった。この世界で空を飛ぶことは基本中の基本だが最初に覚える時には苦労する。だって現実で飛んだ経験なんてないのだから。
でも一度飛べてしまうとあっさりと宙に浮く。空に居るのに地面を歩いているようなそんな感覚。
でもこれは違う。本当に空を飛んでいる感じ。風の匂いがわかるほど、空と一つになる感じ。気を抜けば落ちてしまいそうだけど、その不安定さが心地良い。
「くそぉ!」
「まさお君って言ったっけ? 君は少しは強いと思ったけど訂正するよ。私より弱い人間は結局どれも同じなんだから」
鞍馬の一撃でまさおの頭を包んでいた兜が弾け飛び、無防備な顔面が露わになった。
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