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「いやだああああ!」
「さようなら、まさお君」
鞍馬の拳が空を切る。私はまさおを抱き上げ、少し離れたビルの間まで飛んだ。
「姉ちゃん!?」
「ごめん、遅くなって。もう大丈夫」
私の言葉に安心したのかまさおの両目から大粒の涙が溢れだした。こちらの世界でまさおの泣き顔を見たのはこれが初めてかもしれない。
「怖かったよぉ……」
当然だ、小学生が大人の男に本気で殺されそうになって怖くないわけがない。
「まさお、姉ちゃんがあいつぶっ飛ばすまでちょっと隠れててね」
「うん……」
まさおを路地裏に逃げ込ませてから私は鞍馬の元に舞い戻った。
「あなたは……さっき吹っ飛ばした人ですね。随分見違えましたが」
「私もそう思います。でもこれ、飾りじゃないんですよ?」
体が軽い。まるで自分で動いているんじゃないみたい……。
「!」
「おおおお!」
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