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手に伝わる嫌な感触、ただのコウモリ傘でないことは直感でわかった。
「く!」
背中の羽でとっさに全身を覆う。一気に膨れ上がったコウモリ傘が爆発した。
この程度の衝撃ならばなんてことはないが、同時に嫌な予感が頭を過る。
「豪さんたちは……!?」
空にはいくつものコウモリ傘が不気味に漂い、日の光を遮っていた。これが全て爆弾……一つや二つの爆発なら防げても、それが連鎖を引き起こしたらこの羽でも危ないかもしれない。
「驚いた。さっき見たときはあんなに怯えていたのに、今はこの真一を打ち負かすほどになっている……」
ロングコートの女が音もなく私の目の前に降りてきた。その肩に血で汚れた鞍馬が寄りかかっている。
「すいません、少しドジをしてしまいましたがもう大丈夫。援護に回りますよ」
「うん、お願いね。さっきの二人は期待はずれだったからあなた、一緒に遊びましょうよ?」
鞍馬は女の肩から離れ、漂う傘の後ろに身を隠した。
「豪さんと高次さんをどうしたの?」
「さっきの二人なら今頃天国よ。いや、違うか、一生覚めない夢の中……ってとこかしら」
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