1人が本棚に入れています
本棚に追加
不意の殺気、反射的に振り返るとコウモリ傘の後ろから女が攻撃してきた。
ありえない、ほんの一瞬で私の後ろまで移動するなんて……。
間一髪で避けたものの、右腕に傷を負ってしまった。
すぐさまコウモリ傘の後ろに隠れた女を追うが、すでにそこに姿は無かった。
女が移動した瞬間を見逃した? いや、そんな感覚ではない。
「!」
今度は真上から気弾が飛び込んできた。これでは気が散って冷静に分析することができない。
「ぐ!」
翼で気弾を受けると紫色の煙が煙幕となり、見通しが悪くなる。
この二人のコンビネーションは一朝一夕で出来るものではない、おそらく準備していたんだ……。
ほんの少し動機が早くなる。翼で掻き消したはずの恐怖が古傷のようにじわじわと侵食してくる。後ろから殺気……!
「はあ!」
私は振り向きざまに後ろに浮いている傘を打ち抜いた。傘は爆発しない……そして私の拳がとらえたのは鞍馬のほうだった。
「ぐあ……」
傘を突き抜けた私の拳が鞍馬の腹部を貫通している。鞍馬の体が光に包まれながら消えていく……。
同時に感じた激痛、気付くと私の脇腹からシルバーの傘の石突きが顔を見せていた。
最初のコメントを投稿しよう!