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「グオォ……」
鈍い音を立てながら何百もの鉄槍がゴーレムに突き刺さる。そのまま地面に落ちると共にかなりの振動が周囲に伝わる。
ビリビリと高層ビルのガラスが音を立てた。
「ふぅ、危なかった……」
なんとか槍攻撃は防げたが安心している時間など無かった。
「?」
目の前を一本のコウモリ傘がふわふわと横切った。
「なんだこりゃあ!?」
高次さんが叫ぶ。気づくと私たちの周囲には数えきれない程の黒いコウモリ傘が浮遊していた。その姿は大量発生したクラゲに似ており、私は言い知れない恐怖に足がすくんだ。
「あなたが怜美? それともあっち?」
聞き覚えのない女の声と微かに漏れた吐息が私の耳元に触れた。
「うわあああ!」
咄嗟に自分の右後ろに拳を振りぬくが、そこに人の姿は無かった。
「琴美!」
怜美さんが私を呼ぶ声、すぐそばの傘の陰からロングコートの女がこちらを覗いていた。
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