落ちこぼれの少年と孤高の剣帝

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「あのヴァネッサさん。」 「なんだ。」 「単刀直入に申し上げます。こいつ………リックをあなたの弟子にしてあげてください。」 言い切ると同時に頭を下げるシルバ その瞬間静まり返っていた訓練所内がざわめきだす。 「ちょ、いきなりすぎるよシルバ。」 リックも動揺が隠せない。 そしてそんなお願いをされたヴァネッサ本人は 「嫌だよ、めんどくせぇ。」 一言言い放つと荷物を持ち訓練所から出ようと歩き出す。 「待ってください。いきなりこんなこと言うのは非常識だと分かっています。でも僕はあなたの弟子になりたいんです。」 今度はリックが頭を下げる。 はぁ、と一つ溜め息を落としてからリック達を見ながら聞いた。 「別に俺じゃなくてもドイルに教えてもらえよ。」 「危ないから駄目だって言われた。」 「あの過保護が。」 ヴァネッサが呆れながら呟くとシルバがある提案をする。 「じゃあリックをテストしてあげてください。貴方に一撃でもいれることが出来れば弟子にする。これでどうですか?」 「何でお前が決めるんだ。それにめんどくせぇから嫌だといってるだろ。」 少し苛ついているヴァネッサ。 これを見てシルバはニヤリと笑いながら言う。 「あれれぇ。まさか剣帝ともあろう方が子供に負けるのが嫌だから断るなんて事しませんよね?」 「あ゛ぁ!!」 明らかに切れているヴァネッサ 「誰が負けるって!?いいぜ殺ってやるよ。舞台に上がりな小僧。」 「ちょっと待って。字がおかしくない?」 リックの叫びがヴァネッサに届くことはなかった。 「頑張れリック。後はお前次第だ。」 このシルバの声もリックに届くことはなかった。
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