・朝

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 ちょっとだけ、怖い夢を見た。  どんな夢だったか覚えてない。  ただ怖い夢だったということだけ覚えてる。 「……」  服、着替えなきゃ。  汗でパジャマがべとべとだった。体に張り付くと、ひやっこくて気持ち悪い。  ベッドから降りて、タンスから適当に服を引っ張り出した。  テキパキとパジャマを脱ぎ捨てて、のろのろと洋服に着替えた。  私の部屋に鏡はあるけれど、それを見ることはしない。見たって私は変わらないし、そもそも変えるつもりもない。というかメンドクサイ。 ――コンコン……  私が着替え終わるのと同時にノックの音が聞こえた。 「シノ? 起きてる?」  お母さんだ。 「うん」  私が返事をするとお母さんがドアを開けて入ってきた。 「おはよう」 「おはよー」  もう何度も繰り返したようなやり取りだ。  でも、今日のお母さんの顔はちょっと難しそう。 「あらシノ。またそんなだらしない格好して……。今日はおばあちゃんのところに行くんだから、ちゃんとおめかししていかないと、ね?」 「いいよ別に。この格好の方が楽だもん」 「ダーメ。親戚もみんな集まるんだから、少しくらい娘自慢させてよー」
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