12人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっとだけ、怖い夢を見た。
どんな夢だったか覚えてない。
ただ怖い夢だったということだけ覚えてる。
「……」
服、着替えなきゃ。
汗でパジャマがべとべとだった。体に張り付くと、ひやっこくて気持ち悪い。
ベッドから降りて、タンスから適当に服を引っ張り出した。
テキパキとパジャマを脱ぎ捨てて、のろのろと洋服に着替えた。
私の部屋に鏡はあるけれど、それを見ることはしない。見たって私は変わらないし、そもそも変えるつもりもない。というかメンドクサイ。
――コンコン……
私が着替え終わるのと同時にノックの音が聞こえた。
「シノ? 起きてる?」
お母さんだ。
「うん」
私が返事をするとお母さんがドアを開けて入ってきた。
「おはよう」
「おはよー」
もう何度も繰り返したようなやり取りだ。
でも、今日のお母さんの顔はちょっと難しそう。
「あらシノ。またそんなだらしない格好して……。今日はおばあちゃんのところに行くんだから、ちゃんとおめかししていかないと、ね?」
「いいよ別に。この格好の方が楽だもん」
「ダーメ。親戚もみんな集まるんだから、少しくらい娘自慢させてよー」
最初のコメントを投稿しよう!