96978人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ミオ」
返事をしない彼女に、そっと口付けた。
初めて呼んだ名前に、緊張と興奮がセットになって襲いかかってくる。
まだ少し残っていた迷いを、高揚感で置き去りにして。
決意を固めるように、小さく呟いた。
「お前は、俺の、だ」
憎まれても、恨まれても。
手に入れられるなら、それがどんな手段でも選ぶ。
相手の幸せを願って身を引く、なんて、大人らしい行動は、取れそうにない。
来るもの拒まず、去る者追わず。
それを地でいっていた俺に、こんなに強い気持ちが生まれるなんて、思いもしなかった。
ごめんな、ミオ。
どうしても俺は、お前が欲しい。
.
最初のコメントを投稿しよう!