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……かなわない。
つーか、うん。
落ちた。
そんな言葉がすとんと胸に収まった。
甘く妖しい時間の中で、俺は羽村の引力に捕まった。
酔いのせいで正常な判断が出来ていないことを、わかっていて。
滅多に見せないその隙につけ込むように、羽村を引き寄せる。
ここに来てからずっと、触れたくてたまらなかった髪へと指を差し込んだ。
「へ?」みたいな音を漏らした羽村の唇を、強引に塞ぐ。
触れるだけのキスを繰り返しながら、彼女の様子をうかがう。
少し硬かった唇が、ほぐれていくのを見計らって、舌でそっとなぞる。
びくり、震えるその体をやさしく、だけど強く抱きしめた。
うわ、これ、やばい。
止まんねー……、かも。
「ん、……ふ、っ……?」
まだまだ“?”がいっぱい飛んでいるようだ、が。
羽村の困惑した様子にもお構いなしに続けた行為は、勢いを増していく。
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