96979人が本棚に入れています
本棚に追加
次第に激しくなる口づけは、お互いの息を荒くして。
一瞬、そっと唇を解放した。
試す、って、どこまで?
この先に進むには、どんな罠を仕掛ければ、いい?
酸素の足りない頭で必死に考えても、妙案は出て来なくて。
ただこの腕の中のぬくもりを離したくなくて必死だった俺に、羽村が呟いた。
「きもち、いー……ね?」
驚いてその顔を窺うと、とろんとした様子で俺を見つめている。
まるでそこに何か別の感情があるみたいだ、なんて思うのは、ただの願望か。
「もっと、して?」
その台詞で、全部吹っ飛んだ。
次へ進むのに躊躇している俺には、効果的かつ刺激的な一手だったように思う。
羽村を抱え上げて寝室へと運ぶ。
薄暗い部屋の中で、まだ自分の置かれている状況に気付いていない羽村に、出来るだけ怯えさせないよう、そっと覆い被さった。
.
最初のコメントを投稿しよう!