96977人が本棚に入れています
本棚に追加
……なんて、今は感傷に浸っている場合じゃない。
考えろ、考えろ。
どうしたらこのまま、コイツを捕らえていられる?
誰かに、神谷さんに、奪われずに済む?
……神谷、さん?
そこでふと、思い浮かんだ恋敵の姿。
男から見ても格好いい、羽村の“憧れのヒト”。
その姿とともに、ひとつだけ、浮かんだ案。
名案でもなんでもない。
むしろ……最低の、手段だった。
だけど、いまはこれしか思い浮かばない。
生まれて初めての執着心が、去ってくれる気配もなかった。
迷いを振り切るようにぎゅっと目を瞑って、ゆっくり開いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!