羽村澪、というオンナ

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  最初は、何の興味もなかった。 飛び抜けて美人ってわけでもなく、振り返るほどスタイルがいいわけでもなく。 フツーの、まあどっちかって言うとキレイな方に入るんじゃねーのってくらいの、同期。 舌を巻くほど賢いってほどでもなく、作業のスピードが恐ろしく速い訳でもない。 発想がユニークだとか、天才肌だとか、そういうわけでもない。 ただ、ミスは少なく、時々ハッとするデザインを上げる女だな、とは思っていた。 一緒に仕事をしていて気づいたのは、やりやすい、ってこと。 デザイナーと一口に言っても、クセやこだわりは人それぞれだ。 仕事を進める上で、コピーライターとはもちろんだが、デザイナー同士でぶつかり合うことも多い。 だが、羽村と組むと、不毛な争いが起こりにくかった。 遠慮して口出ししないとかそんな甘ったれたもんじゃない。 言いたいことは言う、納得いかないことは納得いくまで話し合う。 その代わり、妥協だけはしない。 女にしては珍しい、そのスタンスが心地良かったのかもしれない。 .
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