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一緒にいると楽しくて。
飲んでる時間はあっという間に過ぎていく。
けれどそれは、恋には少し足りない気がしていた。
羽村の憧れの人とやらを知っても、「ふーん」くらいにしか感じなかったし。
(えらく高望みだな、とは密かに思ったけれど)
反応が面白いからからかうだけで、それ以上踏み込もうとも思わなかった。
(からかったときにだけ見ることができる、あたふたしている羽村は、仕事中とのギャップもあって愉快だったし)
俺はこうやって、羽村と気ままに飲めりゃいい。
馬鹿話したり、仕事のことを愚痴り合ったり、お互い潰れられるくらい気を許し合って。
そーやって、楽しく飲んで過ごせりゃいいんだ。
そんな風に思っていたのに。
悠長に構えていられなくなったのは……羽村の“憧れのキミ”である、神谷さんの目にあの光を見つけた瞬間からだった。
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