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「堕天使をこの目で見たのは初めてだが、化物だな。この陣の中では対象となった生物は全ての活動を停止する。即、死を意味するわけだが……やはり神通力を持つだけあって、イレギュラーとして対応すべきだな」
声のした方に顔を向けると、陣の縁ぎりぎりのところに砂漠の王が見えた。特に慌てる様子もなく、堕天使は眼の濃度を上げていく……
「ダメだ。上手くいかないなァ」
「それも時間の問題だろう」
「へェ……さすが王様。人間にしては色々詳しいねェ。是非、君だけが知っている情報を覗き見たいなァ」
「それはこちらのセリフだ。貴様は迅速に殺し、死骸から父上の情報を引き抜く!」
告げると同時に、魔法陣が強く光り輝いた。
「そうか。これは召喚陣も併合した、オリジナルの陣だねェ……クックック。こんなに楽しいは久しぶりだなァ」
「貴様は遊び殺したようだが、大砂ムカデの血と肉は召喚の為の贄となる。共に喰われるがいい」
地響きを立てて、砂漠が大きく揺れ始める。しかし堕天使は、目を閉じて黙然と座す。その様子は、死刑を待つ囚人さながらであった。
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