《2》

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  今頃ふたりはきちんと向き合っているだろうか。 そして…触れ合って、いるんだろうか。 不意に、最後に触れた、羽村さんの手の感触が甦る。 小さくて、柔らかい手だった。 その温度は低く、寒空に倣うように冷えていた。 暖めてあげたかった。 それが出来る立場の男に、なりたかった。 触れたかった。 髪に、手に、頬に、もちろん…唇に、だって。 だけど、それをしなくて良かった、とも思っている自分もいた。 ギリギリだったかもしれないけれど…嫌われなくて済んだから。 『憧れていた』と言ってくれた羽村さんに、幻滅されたくなかった。 それはいわば、強引になりきれない分、弱かったとも言えるのだけれど。 .
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