《2》

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  カラン、とドアにつけられたベルが鳴った。 「はろー、翔くーん」 「お、久しぶりだなー千紘(ちひろ)。カウンターでいい?」 翔兄さんの声につい反応して、ドアの方に目が向いた。 元気よく片手を上げた長身の女性が、こちらに向かって歩いてきていた。 「もっちろーん。今日は一人だからねー」 「あれ、ハルトは?」 「残業だってさー。よく働くよねーほんと」 けらけらと笑う、その女性が僕の隣のスツールに腰掛ける。 翔兄さんとのやりとりを何となく眺めていたからだろう、不意に目が合った。 「こんばんはー?」 「…どうも」 何故、疑問系なんだ。 首を傾げる仕草も全部、少し怪訝な雰囲気を纏っていたように思う。 ぼんやり眺めていたはずだけれど、自分で思っている以上にじろじろ見すぎてしまったのかもしれない。 申し訳なくなって会釈を返し、またカウンターへと視線を戻した。 なのに、隣からは明るい声。 .
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