55314人が本棚に入れています
本棚に追加
/350ページ
「ちょっと大人になった響に、乾杯」
そう言ってビールを飲み干した翔兄さんに、僕は不満げに反論した。
「何だよそれ…三十路の男捕まえて」
「ばーか。俺にとってはいつまで経ってもお前はコドモなんだよ」
「…納得いかないなあ」
そう呟いたが、それ以上は追求しなかった。
腑に落ちなかったのは本当だが、兄の声色には何となく、優しさが滲み出ているような気がしたからだ。
そこに、涼さんが料理を持ってきてくれた。
僕は早々に飲み干したビールのお代わりを頼む。
スモークサーモンにポテトサラダ、小さなオムレツなんかが少しずつ大皿に並べられている。
その中に、見覚えのある料理を見つけて思わず呟いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!