《5》

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  「響ちゃんって、わっかりやすいわよねー!」 けらけらと明るく笑った千紘さんに、僕はもう、成す術がなかった。 苦々しい思いでビールを飲み込むと、彼女は言う。 「どんな意地悪したのー? おねーさんに言ってみなさい!」 「…言わなきゃ駄目かな?」 最後の抵抗を試みた僕に、千紘さんは「ん?」という顔をした。 「駄目ってことはないけど、言った方がラクかもしれないじゃない?」 「そう、かな…?」 そうは言いながらも、口は重い。 そんな僕に千紘さんはまたズバッと切り込んでくる。 「だーって響ちゃん、どうせまた『意地悪なことしちゃった』とか気に病むんでしょー? 一人でうじうじと!」 言い放たれた言葉に思わず顔を上げた。 あまりにひどい、と思う。 「う、うじうじって…!」 「じゃあジメジメ、かしらー?」 「そんなことない! 僕はっ…」 僕は、何だ。 その次の言葉が思い浮かばない。 ぐっ、と言葉を飲み込んだ僕の背中を「まあまあ」と言いながら千紘さんがなだめるように撫でる。 .
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